
- 後藤 千絵
- 京都生まれ。大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に入社するも、5年で退職。大手予備校での講師職を経て、30歳を過ぎてから法律の道に進むことを決意。派遣社員やアルバイトなどさまざまな職業に就きながら勉強を続け、2008年に弁護士になる。
目次
労災事故~ひかれた・激突事故【弁護士が解説】
多くの業種や現場において、重機や車両にひかれる労災事故、人と機械・物とが激突する労災事故が発生しています。
例えば、作業中のトラックやダンプ、フォークリフトに労働者がひかれる、重機が倒れて労働者が下敷きになる、クレーンの吊り荷や伐採木が労働者に激突するなどです。
重量物である機械や荷物などが人体に衝突する事故ですから、必然的に怪我の程度も深刻なものとなることが多く、重度の後遺障害が残ったり、お亡くなりになったりするケースも多々あります。
会社、元請けに対する損害賠償が可能なケースも
重篤な後遺障害を負ったり、お亡くなりになることが多いこの「ひかれた・激突事故」では、労災保険給付で相応の補償(数百万円~数千万円)がなされることが少なくありません。
また、労働現場の管理責任について「安全配慮義務違反(労働者が安全で健康に働くことができるように配慮する義務)」や「不法行為責任(事故の原因が企業の活動そのものを原因とするような場合や、労働現場の建物・設備に危険があった場合などに認められる責任)」などを根拠として勤務先会社・元請に対して多額の損害賠償請求が認められるケースも多くあるのです。
特にこの「ひかれた・激突事故」の場合で、会社に一切の過失がないケースというのは相当に珍しいと言え、ほとんどの場合、会社は何らかの注意義務違反や不法行為責任を負うといってよいと思われます。
一方で、この事実を全く知らずに、労災保険からの給付のみを受け取って「一件落着」と考え、労災保険以外は一切請求せずに事故の件は終了と思っている方が多いのもまた事実なのです。
重篤な被害に遭ってしまっている以上、正当な補償・賠償を受けるべきです。
他の従業員の失敗・過失により怪我を負った場合の賠償はどうなる?
「同じ現場で作業していた方の運転ミス、操作ミス、安全確認の懈怠によって、ひかれた・激突事故が発生した」というケースはとても多くあります。
このような場合、責任はいったい誰にあるのでしょうか。
もちろん、落としてしまった本人には当然落ち度があり、損害賠償責任があります(不法行為責任、民法709条)。
ですが、その従業員が業務の執行につき行った不法行為による責任は、その従業員のみならず、雇用主である会社も負います。これを「使用者責任」(民法715条)と言い、会社に対して損害賠償を行う際の法的根拠となります。
このような場合、落としてしまった従業員個人の責任と会社の責任は両立し、ほとんどの場合、会社が現実に支払うことになります。ありていに言えば、他の従業員の資力がなくても、会社から賠償金が取れるのです。
会社・元請けに対して過失を追求するために
労災事故においては様々な角度から「事業主は事故を起こさないために全力で労働者の安全に配慮したのか」という検証が行われます。
「ひかれた・激突事故」が発生したとなれば、例えば下記のような点で、会社・元請けの過失が検証・追及されることになります。
- 立入禁止区域の設定、安全のために必要な指示の徹底など安全対策は不足なくなされていたか
- 運転、操作免許・資格を持っていない者に運転・操作をさせていなかったか
- 機械を操作する者、周囲で従事する者への十分な安全教育がなされていたか
- 安全確保のための監視員の配置などは十分になされていたか
しかしながら、一個人である労働災害に遭われた被災労働者が、単独で会社や保険会社とやりとりをするのは困難を極めます。
また、事故態様に関する資料や証拠の収集も容易ではありません。
ほとんどの方は、労働災害に遭うこと自体初めての経験です。ご自身ではよく分からないことも多いでしょうし、どのように交渉を進めればよいのか悩み、非常にストレスを感じられるようです。
また、会社側も「そもそも労働者(=あなた)」の過失自損事故であり、会社に責任はない」、「労働者に大きな過失があった」というように、「安全配慮義務違反がない」と主張してきたり、仮に会社の責任を認めても「過失相殺(割合)」で大幅減額などのを主張をしてきたりする場合が少なくありません。つい弱気になって会社の言い分を素直に聞いてしまい、泣き寝入りするケースも多々あります。
そんな時、弁護士はあなたの味方となり、適切かつ正確な主張を行い、あなたの権利を守ります。
「ひかれた・激突事故」に遭われた方やご遺族の方は、ぜひ一度ご相談ください。
弁護士にご依頼いただくことで、会社側に責任があるのかどうかをより正確に判断し、会社側と対等に交渉することも可能になってくるのです。
早めの相談・依頼で安心を
労働災害の補償やその手続きは複雑で、一般の方が理解しづらいとお感じになる部分も少なくありません。
また、ご自身で会社と交渉することは大きなストレスとなりますし、どんな責任をどの程度追及できるかについても、専門的な知識や経験値が必要とされます。
弁護士にご依頼いただくことで、会社側に責任があるのかどうかをより正確に判断し、会社側と対等に交渉することが可能となってきます。
「弁護士に依頼するかについては未定」という方も、お早めにご相談いただくことで、その方の具体的な事情を踏まえた個別のアドバイスができますので、ご不安の解消や、今後の方針を立てる上でお役に立てると思います。
労災事故に遭われて、お悩みの方はぜひ一度、ご相談なさってみてください。
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