交通事故通勤災害

後藤 千絵
京都生まれ。大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に入社するも、5年で退職。大手予備校での講師職を経て、30歳を過ぎてから法律の道に進むことを決意。派遣社員やアルバイトなどさまざまな職業に就きながら勉強を続け、2008年に弁護士になる。

労災事故~通勤災害・交通事故【弁護士が解説】

業務中または通勤中に交通事故に遭った場合には、交通事故の加害者の自賠責保険・任意保険のほかにも、労災保険の適用を受けることができます。

交通事故で労災保険を使用するメリット

治療費などについて過失相殺をされない

交通事故において被害者にも過失があった場合には、基本的に、過失割合に応じた分の治療費などは、被害者の自己負担となります。

例えば、過失割合が加害者80:被害者20の場合、治療費100万円のうち、20万円は自己負担となってしまいます。

仮に加害者の任意保険会社が治療費の一括対応(病院へ直接支払う対応のこと)をしていた場合には、20万円は「払い過ぎ」となり、その分、他の損害項目(慰謝料)から削られてしまいます。

最終的な受取額から20万円を引かれてしまうということです。

しかしながら、労災保険を適用し、治療費を労災保険からの支払いとしておくと、結論として、上記のような「治療費の払い過ぎによる最終受取額の目減り」ということはおきません。

このように、最終的に受領できる金額が増える可能性がある点は、労災保険を適用するメリットです。

特別支給金を受け取ることができる

事故により仕事を休まざるを得ない場合、もちろん、加害者の自賠責保険や任意保険からも休業損害への支払いがあります。

他方、労災保険を使用する場合には、4日以上休む場合には、休業(補償)給付の他に休業特別支給金が支給されます。

休業(補償)給付は給付基礎日額の6割の金額、休業特別支給金は2割の金額となります。

二つを合わせると8割分の金額となります。

労災保険を使用する場合でも、交通事故加害者の責任が消えるわけではありませんので、全額に足りない部分の賠償は加害者(保険会社)からなされます。

このとき「全額に足りない部分」とは「4割」額なのです。2割額ではありません。

というのは、休業特別支給金(2割)は、いわば労災保険が被災者に「特別に支給する給付金」という扱いで、既払金として控除されないのです。

結果的に被害者は2割分を多く受け取ることができるのです。

この点は、労災保険を適用する明らかなメリットです。

後遺障害の等級認定を労災保険が行う

交通事故によって負った怪我が完全に治らず、後遺障害が残った場合、自賠責保険にて後遺障害の等級認定が行われます。

他方、労災や通勤災害によって負った怪我の後遺障害認定は、労災保険にて行われます。

つまり、交通事故型の労災や通勤災害の場合、後遺障害の認定手続が重複し得るのです。

そして、後遺障害等級の認定方法は、自賠責保険と労災保険とではやや異なります。

自賠責保険の場合は基本的に書面審査のみですが、労災保険の場合には労働基準監督署での被害者面談も行われ、労災保険の方が主治医等の医学的知見をより尊重する傾向にあります。

その結果、後遺障害該当性の判断が分かれることもあり、労災保険では等級が認められたものの、自賠責保険では認められないというケースが見られることもあります。

労災保険の方が事故被害者にとって、有利な認定判断がなされる傾向が多いように思われます。

特に昨今、自賠責保険は、痛みやしびれ等の神経症状(14級9号、12級13号)の後遺障害を容易に認めない傾向が強く、この点は交通事故被害者を非常に悩ませている点です。

そのため、労災型・通勤災害型の交通事故の場合、労災保険を使用することで、後遺障害認定でより有利な結果を得られる可能性があり、この点も労災保険を適用するメリットです。

加害者に対する損害賠償請求

交通事故について労災保険を使用し、労災保険からの補償を受けたとしても、被害者が被った損害の全てが得られるわけではありません。

労災保険からは、怪我の慰謝料(入院・通院の慰謝料)も後遺障害の慰謝料も支給されませんし、後遺障害が残った場合の逸失利益の完全な賠償もありません。

このような慰謝料や完全な逸失利益の賠償などは、加害者(保険会社)に対して、求めるべきものです。

示談交渉や、交渉がまとまらなければ裁判所での訴訟や調停によって解決を図るべきものです。

当事務所では、労災事故のみならず、労災型ではない交通事故も得意分野としておりますので、被害に遭われた方はぜひご相談をご検討ください。

当事務所の総合サイトもご覧いただければ有用な情報に接していただけるものと思います。

早めの相談・依頼で安心を

労働災害の補償やその手続きは複雑で、一般の方が理解しづらいとお感じになる部分も少なくありません。

また、ご自身で会社と交渉することは大きなストレスとなりますし、どんな責任をどの程度追及できるかについても、専門的な知識や経験値が必要とされます。

弁護士にご依頼いただくことで、会社側に責任があるのかどうかをより正確に判断し、会社側と対等に交渉することが可能となってきます。

「弁護士に依頼するかについては未定」という方も、お早めにご相談いただくことで、その方の具体的な事情を踏まえた個別のアドバイスができますので、ご不安の解消や、今後の方針を立てる上でお役に立てると思います。

労災事故に遭われて、お悩みの方はぜひ一度、ご相談なさってみてください。
ご相談は、電話やメール、LINEでも可能です。いずれも無料(60分)です。ご相談はこちらです。

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