1 高次脳機能障害とは?
高次脳機能障害とは、事故や病気などのさまざまな原因によって、脳が損傷を受け、認知・言語・行為・思考・記憶・学習・注意・判断などの知的な機能に障害が残った状態を言います。
主な症状としては、①注意障害、②記憶障害、③遂行機能障害、④社会的行動障害があります。例えば、以下のような症状です。
- 注意障害
・飽きっぽく、気が散りやすい
・複数の作業を同時に行うことができない
- 記憶障害
・以前の記憶を思い出せない
・新しいことを覚えられない
- 遂行機能障害
・行動を計画することができない
・正確に遂行することができない
- 社会的行動障害
・発想や言動が自己中心的
・感情や言動をコントロールできない
・ちょっとしたことですぐに怒る
2 高次脳機能障害の労災等級について
仕事中の事故であれば、労災保険の申請が可能です。
労災認定を受けることができれば、労災保険の給付を受けながら治療をすることができます。
ただ、脳に損傷を受けた場合は、治療を継続しても医学的にこれ以上症状が改善できないケースも多々あります。
この状態を『症状固定』と言い、症状固定時に障害が残っている場合には、障害等級認定の申請をすることになります。
高次脳機能障害の等級認定は、下記の基準に従って判断されます。
- まずは労働能力の喪失の程度について、介護の要否を確認する
・常時、介護が必要→第1級
・随時、介護が必要→第2級
- 介護が不要な場合は、4能力の程度を7段階に分けて判断する。
【4能力とは】意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力・持久力、社会行動能力を指す。
【4能力の7段階とは】
- できない
- 困難が著しく大きい
- 困難はあるがかなりの援助があればできる
- 困難はあるが多少の援助があればできる
- 困難はあるが概ね自力でできる
- 多少の困難はあるが概ね自力でできる
- 障害なし
3 労災申請・補償制度の概要
労災によって高次脳機能障害となり、労災認定がおりれば、労災保険から治療費や休業補償などの給付を受けることが可能となります。
障害が残った場合には、障害等級認定の申請が可能となり、認定されれば労災保険から障害(補償)給付を受けることができます。
認定された等級に応じて、年金または一時金の支給をうけることができます。
具体的には、後遺障害等級が第1級から第7級に該当する場合には、障害(補償)年金、障害特別給付金、障害特別年金が支給されます。
後遺障害等級が第8級から第14級に該当する場合には、障害(補償)一時金、障害特別支給金、障害特別一時金が支給されます。
ただし、労災保険では、労働者が被ったすべての損害を補償することはできません。特に後遺障害が生じた場合には、逸失利益の補償が不十分ですし、慰謝料の支払いもありません。
労災でカバーできない損害については、労災に対して責任のある会社に請求する必要があります。
4 損害賠償請求の可能性と安全配慮義務
それでは、会社に対して、損害賠償を行える可能性がある場合について説明します。
会社は、雇用契約を締結している労働者に対して、生命や身体の安全を確保しつつ労働を行えるように職場の環境を整える義務(『安全配慮義務』と言います)を負っています。
この安全配慮義務の「違反」が認められる場合に、損害賠償請求が可能となります。
主な賠償項目としては、以下の項目があります。
- 入通院慰謝料
入院・通院をせざるを得なかったことの精神的損害に対する慰謝料
- 後遺障害慰謝料
後遺障害による身体的・精神的苦痛に対する慰謝料
- 後遺障害逸失利益
高次脳機能障害によって喪失した収入に対する補償 - 休業損害
休業を強いられた間に、本来もらえるはずであった収入
5 弁護士に相談すべきケースとは?
実際に、労災保険給付の申請や損害賠償請求ができるケースであっても、法的知識が不十分な状態では、適切な方法で請求できないことがあります。
特に高次脳機能障害の場合は、請求に向けて、労働者ご自身が主体的に動くことは難しい場合が多く、損害額の算定や証拠収集が困難になることも珍しくありません。
この点、早い段階で弁護士に相談しておくことで、本人およびご家族の精神的負担を軽減することができ、より一層、治療やリハビリに専念することが可能となります。
後遺障害の認定もサポートいたしますので、適正な等級認定を受けることも可能となります。
後遺障害等級の認定次第では受け取れる金額が大きく違ってきますので、後遺障害の認定は重要なポイントです。
また、仮に示談交渉が難航し、裁判に移行せざるを得ないような場合でも、弁護士が対応します。
6 当事務所のサポート内容
当事務所は随時、無料相談を行っておりますので、まずは無料相談をご利用ください。
相談はメールやLINEでも可能となっております。
1人で悩むのではなく、できるだけ早めに専門家に相談することをお勧めします。
当事務所では、女性スタッフ全員が依頼者に親身に寄り添うことをモットーとし、一丸となってサポートに当たっております。
お気軽にご相談にいらしていただければと思います。
初回
相談料0円
- 労働災害の無料相談
- 050-5451-7981
- 平日・土日9:00~20:00



