1 はじめに
労災事故では、後遺障害が問題となることが少なくありません。
後遺障害とは、これ以上治療による改善が見込まれず、将来的に一定の症状が残存する状態のことです。
後遺障害等級は労働基準監督署に認定してもらいますが、1級から14級まであり、14級が最も軽い障害となっています。
後遺障害11級が認定される身体障害は、以下のものがあります。
| 1号 | 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの |
| 2号 | 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの |
| 3号 | 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの |
| 4号 | 十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの |
| 5号 | 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの |
| 6号 | 一耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの |
| 7号 | 脊柱に変形を残すもの |
| 8号 | 一手の人差し指、中指又は薬指を失ったもの |
| 9号 | 一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの |
| 10号 | 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当程度の支障があるもの |
2 労災保険で支払われる給付と金額
後遺障害11級が認定された場合、労災からは障害補償給付を受けることができます。
例えば、後遺障害11級9号(1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの)に該当した場合、労災からいったいいくらの補償が受けられるのでしょうか?
障害補償給付としては、①障害補償一時金、②障害特別一時金、③障害特別支援金が支給されます。
障害補償一時金
11級の場合、給付基礎日額の223日分が支給されます。
※給付基礎日額とは、労災事故発生日の直前3カ月間の賃金の総支給額を日割り計算したもの
障害特別一時金
11級の場合、算定基礎日額の223日分が支給されます。
※算定基礎日額とは、労災事故発生日の直前1年間の賞与の金額を365日で除したもの
障害特別支援金
11級の場合、29万円が支給されます。
具体例
実際に例題から受け取れる金額を見てみましょう。
例:毎月の給料が額面で30万円、1年間の賞与が60万円の労働者が2月1日に足指を骨折し、後遺障害11級と認定されたケース
障害補償一時金
直近3カ月は、1月(31日)、12月(31日)、11月(30日)となります。
(30万円×3カ月)÷(31日+31日+30日)=9,783円
よって、給付基礎日額は、9,783円となります(※1円未満の端数は1円に切り上げます)
障害補償一時金は、9,783円×223日=218万1609円
障害特別一時金
1年間の賞与は60万円なので、365日で割ると、1,644円となります。
1,644円×223日=36万6612円
障害特別支援金
29万円
合計 218万1609円+36万6612円+29万円=283万8,221円
よって、労災からは283万8,221円の支給を受け取ることができます。
労災保険で受け取れる給付・補償について詳しく知りたい方はこちら>>>
3 労災保険では支払われない補償とは
ただし、労災保険がおりたとしても、実際には労災保険だけでは十分に補償されない損害があります。
後遺障害11級が認定された場合、後遺障害慰謝料と、後遺障害逸失利益は労災では補償されません。
後遺障害慰謝料
後遺障害による精神的な損害に対する補償のことです。11級の場合、弁護士基準(「赤本基準」とも言います。)によると420万円を請求できるとされています。
後遺障害逸失利益
後遺障害により将来的な稼働能力が低下したことに対する補償です。
基礎収入に、労働能力喪失率(11級の場合20%)と労働能力喪失期間(症状固定時から67歳までの期間)に応じたライプニッツ係数を乗じて計算します。
なお、労災だけでは補償されない上記の損害については、会社に対し、損害賠償請求をする必要があります。
会社は、雇用契約を締結している労働者に対して、生命や身体の安全を確保しつつ労働を行えるように職場の環境を整える義務(『安全配慮義務』と言います)を負っています。この安全配慮義務の「違反」が認められる場合には、損害賠償請求が可能となります。仮に労働者側に過失があったとしても、会社に損害賠償をできる場合があります。
4 弁護士に相談すべきケースとは?
後遺障害11級の認定がおりたとしても、当事者の法的な知識が不十分な状態では、適切な方法で請求できないことがあります。
請求に向けて、お怪我をされている労働者ご自身が主体的に動くことは難しい場合が多く、損害額の算定や証拠収集が困難になることも珍しくありません。
この点、早い段階で弁護士に相談しておくことで、本人およびご家族の精神的負担を軽減することができ、より一層、治療やリハビリに専念することが可能となってきます。
早めのご相談をお勧めします。
5 当事務所のサポート内容
当事務所は随時、無料相談を行っておりますので、まずは無料相談をご利用ください。
1人で悩むのではなく、できるだけ早めに専門家に相談することをお勧めします。
当事務所では、女性スタッフ全員が依頼者に親身に寄り添うことをモットーとし、一丸となってサポートに当たっております。
お気軽にご相談にいらしていただければと思います。
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