荷役時の事故と労災保険の補償について弁護士が解説!

1 運送業における事故状況

運送業は、全業種の中でも労災発生件数が多く、全業種で3番目となっています。

下記①と②は、令和6年における全国と兵庫県の運送業における死傷者数のデータですが、いずれも深刻な状況であることが伺われます。

①全国令和6年の死傷者:16,292名(うち死亡108名)

厚生労働省労働基準局が発表した「令和6年労働災害発生状況」よると、陸上貨物運送業における休業4日以上の死傷者数は16,215名(令和5年)から0.5%上昇し16,292名となっています。

そのうち死亡者数は、110名(令和5年)から1.8%減少し、108名となっています。

参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58198.html

②兵庫:630名(4名)

兵庫県では、死傷者数は630名で、死亡者はそのうち4名です。前年度は、死傷者数625名、死亡者数は0でしたので、いずれも増加しているといえるでしょう。

参考:https://jsite.mhlw.go.jp/hyogo-roudoukyoku/content/contents/002206116.pdf

2 荷役5大災害とは?

運送業では、特に「荷役作業」において労災事故が発生しやすく、特に荷役5大災害と言われるものが集中的に発生しています。

以下、具体的に説明していきます。

墜落・転落

高所やトラックの荷台で作業中に墜落・転落してしまう事故は、運送業の中でも代表的な事故と言ってよいでしょう。

原因としては、足場自体が不安定であったり、十分な広さがなかったりする状況での作業であること、安全装置が適切に使用されていないことが考えられます。

安全ネットや手すりが適切に配置されていない場合には、会社の責任を追及できる可能性があります。

荷崩れ

トラックの荷台に乗せてある荷物が崩れて、作業員が荷物の下敷きになる事故が代表的なものです。

原因としては、荷物が十分に固定されていなかったこと、積載バランスや過剰な積載であったことが考えられます。

事前の点検不足など、荷崩れ防止措置が適切にとられていなかった場合、会社に過失が認められる可能性があります。

フォークリフト

フォークリフトを使用した際の事故は、全労災事故の中でも多発している事故です。

フォークリフトが転倒し、運転者が死傷するケースが多発しています。

原因としては、過剰な積載であったり、急に旋回したり、運転者の技能が不足していたりすることが考えられます。

無人暴走

ブレーキをかけ忘れたり、エンジンをかけたまま運転者が車を離れたりした際に車が暴走し、運転者や作業員が巻き込まれる事故です。

車両の管理体制に問題があった場合は、会社に過失が認められる可能性があります・

トラックの後退時の事故

トラックが後退する際に、誘導員などが配置されず、死角に入った作業員が巻き込まれる事故が多発しています。

バックモニターを活用したとしても、トラックはどうしても死角が発生します。

誘導員の配置せずに安全対策を怠った場合、会社は責任追及されることになります。

3 労災申請・補償制度の概要

荷役作業中に労災事故が発生した場合、労災保険によって支給されるのは、以下のようなものとなります。

療養補償給付・療養給付

労働災害により生じた傷病を療養するために、無料で受けられる給付です。

休業補償給付・休業給付

労働災害による傷病の療養をするために休業した場合に、賃金が得られないという損害に対して、支給される給付です。

傷病補償年金・傷病年金

労働災害による傷病が療養開始後1年6ヵ月を経過しても治癒せず完治しない場合に支給される給付です。

障害補償給付・障害給付

労働災害による傷病が完治せずに、身体に一定の障害が残った場合に支給される給付です。

遺族補償給付・遺族給付

労働災害によって死亡した場合に遺族に支給される給付で、遺族等年金と遺族(補償)等一時金の2種類の給付があります。

葬祭料・葬祭給付

労災によって死亡した場合に、労働者の葬祭を行った者に支給される給付です。

介護保障給付・介護給付

傷病(補償)年金または障害(補償)年金の受給者で、かつ症状が重いため現に介護を受けている場合に支給される給付です。

この中でも④の後遺障害等級の認定は、認定されるかどうかで大きく金額が違ってきますので、重要なものとなってきます。

業務災害の場合には「補償給付」や「補償年金」が支給されます。通勤災害の場合には、「給付」や「年金」が支給されます。

その他、社会復帰促進事業の一環として、休業(補償)給付、障害(補償)給付、遺族(補償)給付、傷病(補償)年金には、上乗せの特別給付がなされます。

5 損害賠償請求の可能性と安全配慮義務

労災保険がおりたとしても、実際には労災保険だけでは十分に補償されない損害があります。慰謝料や後遺障害逸失利益・休業損害等です。

労災だけでは補償されない損害については、会社に対し、損害賠償請求をする必要があります。会社は、雇用契約を締結している労働者に対して、生命や身体の安全を確保しつつ労働を行えるように職場の環境を整える義務(『安全配慮義務』と言います)を負っています。この安全配慮義務の「違反」が認められる場合には、損害賠償請求が可能となります。仮に労働者側に過失があったとしても、会社に損害賠償をできる場合があります。主な賠償項目としては、以下の項目があります。

入通院慰謝料

入院・通院をせざるを得なかったことの精神的損害に対する慰謝料。

慰謝料は、労災では補償されていません。

後遺障害慰謝料

後遺障害による身体的・精神的苦痛に対する慰謝料

後遺障害逸失利益

労災事故によって喪失した収入に対する補償

休業損害

休業を強いられた間に、本来もらえるはずであった収入

6 弁護士に相談すべきケースとは?

労災保険給付の申請や損害賠償請求ができるケースであっても、法的知識が不十分な状態では、適切な方法で請求できないことがあります。

請求に向けて、お怪我をされている労働者ご自身が主体的に動くことは難しい場合が多く、損害額の算定や証拠収集が困難になることも珍しくありません。

この点、早い段階で弁護士に相談しておくことで、本人およびご家族の精神的負担を軽減することができ、より一層、治療やリハビリに専念することが可能となってきます。

弁護士事務所では、後遺障害の認定もサポートいたしますので、適正な等級認定を受けることも可能となります。

先ほども申し上げましたが、後遺障害等級の認定次第では受け取れる金額が大きく違ってきますので、後遺障害の認定は重要なポイントです。

7 当事務所のサポート内容

当事務所は随時、無料相談を行っておりますので、まずは無料相談をご利用ください。

相談はメールやLINEでも可能となっております。

1人で悩むのではなく、できるだけ早めに専門家に相談することをお勧めします。

当事務所では、女性スタッフ全員が依頼者に親身に寄り添うことをモットーとし、一丸となってサポートに当たっております。

お気軽にご相談にいらしていただければと思います。

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